よねすけ、隣に突撃するってよ。

新しい世界を求めて、いざ突撃せん。

これからは「観光地」を回る旅よりも、「地域のカリスマ」を訪ねる旅が楽しくなってゆく。

旅───を一つとっても定義は様々で、あてもなく周辺をさまよう「放浪の旅」もあれば、「観光地」を回る「旅行・ツアー」としての旅もある。現代では、どちらかというと観光地を回る、という意味での「旅」が一般的だ。

インターネットで観光先の地名を検索しただけで、TOPに周辺の有名な観光地が一覧表示される。旅先紹介サイト等ではユーザーの感想や写真が表示されるし、GoogleMAPに至っては「ストリートビュー」という機能で旅の疑似体験をすることができる。

生まれたときから目の前に「インターネットというおもちゃ」が転がっていた僕にとって、「観光地目的の旅」はもはや魅力的なものでなくなっている。変わりに、「地域に住む人」、さらにいうと「地域のカリスマ」に出会う旅が面白く、そしてこれから広がっていくだろうと考えています。

写真撮影とシェア目的で観光地に赴く人たち

あらかじめ観光地の情報を手のひらにある「スマホ」で調べて、写真を見ながら「この観光地は本当に素晴らしいのか」を事前に精査、おおよその概要や風景をチェックしたうえでようやく現地へと赴く。

誰でもスマホを持っている時代、旅のスタイルも以前とは比べものにならないほど変化したと思う。自身は以前の社会状況をあまり知らないのだけど、「未知のもの」を訪ねる機会は相当減ったのではないでしょうか。あらかじめ画面上で見た「既知」のものを、再確認するために現地へ訪れるというスタイル。

実際に観光地へ訪れると、まず一斉に携帯やカメラを取り出して周囲の写真を撮影する。「SNS(ソーシャルネットワーク)」で撮影した写真をシェアして、自分の近況を不特定多数に伝える。そこでは「リアルワールド」よりも、「バーチャル」での行動が優先される。

 

これは実際に自分が体験していたこと、周囲で見ていたこと。このような話をすると、「それは本末転倒ではないか」とか、「ちょっとおかしいよね」と言われることも何度かあった。

人の優先順位は別になんでもよいけども、「ネットで大量に観光地の写真がシェアされている時代、あえて自分が写真を撮影しにいく理由はなんだ?」と考えたことがある。目的が目的だけに、当然の帰結だと思う。

自転車日本一周の旅を始めた当初は、「なんとなく」ネット上で有名だった観光地へ訪れていた。でも次第に「あまり理由を考えず、近況報告をするためだけ」に時間を割いていたことに気付いて、途中でやめました。いまだに、「なんで○○に行かないの?」と疑問を投げられることもありますが。

旅の目的は、「人」を訪ねること

そのあと、「僕が旅をする理由はなんだ?」とずっと自問自答していたわけですが、旅の目的を突き詰めて考えていけばいくほど「人」を訪ねることに繋がっていくんですよね。

ある観光地に「ものすごく行きたい」と思っていたとして、観光地の情報を調べてゆくとその場をつくった「人」に行き着くんですよ。「この観光地に行きたい」というところから、「この観光地をつくった○○さんに会いたい」へと変化してゆく。

旅人は、その国の「地域」を回る存在。日本一周をするという場合でも、ミクロ的に見てゆけば「日本という国家を構成している地域」を回る存在であり、その地域にかかわっている人に会う存在であり、地域と地域をつなぐ存在でもある。

 

この自転車日本一周という旅を通して、「観光地を回る旅を主体にするよりも、地域の人を訪ねる旅のほうが面白いな」と気づく機会がありました。そこで、「タズネビトプロジェクト」という地域の「人」を訪ね歩いて、そこで感じたことを発信するという取り組みを始めました。

www.yusukeyonezawa.com

うん、これはやっぱりめちゃくちゃ面白かった!これまで都会でしか生活していなかった自分にとって、普通だったら体験できないようなことをさせてもらい、現地の美味しい食材をいただき、そして地域の暮らし、哲学、思想なんかについて議論をさせてもらいました。

旅人は無力な存在だから、最近の地方創生にあるような「訪れた地域を復活させる!」なんてことは難しい。定住しなければ見えてこないものが多すぎる。

でも、地域の人に会って「その場の暮らし・思想・文化」を語り合うことはできる。少なくとも、自分の人生に影響しそうなことは実現できる。そしてこちらは、旅先での話を通して相手に疑似的な旅をしてもらうことができる。

地域に存在する「カリスマ」

あ、あともう一つ思ったことを。日本の様々な地域を回っていると、「地域のカリスマ的な人」に出会う機会が何度かありました。

彼らはインターネット活動を中心としていないので、ネット界ではあまり表に出てきません。また職人気質なので、経済的な指標を第一としては行動しない。

ただ、現代の日本では考えもしない凄いことをやってのけます。長野県・山梨県で代表的だったのは、自分で土地を開拓し、さらには自ら家を建ててしまうor朽ちたような古民家を改築して、自分の居場所を作ってしまう人。何から何まで自分で自給をする他に、ローカル圏では凄まじい人脈があって、たくさんの人との交流があるという人たち。

 

これから自らの暮らしをつくっていくにあたって、新しい生き方を考えるにあたって、彼らは希望になる存在で、ぜひ今後も関わっていきたい人たちだと思った。また、意外にも日本のあちこちに住んでいることがわかりました。

今後、僕はこのような人たちと出会いながら、これからの暮らし・シゴト・教育分野辺りの話を議論して、コンテンツ化しようと思っています。

さいごに 

「観光地目的の旅」では絶対にできなかったことを、「人に出会う旅」を通して実現できています。そして、今もこれからも「人に出会う旅は面白いし、増えていくだろう」とも思っています。

インターネットによって、「場」を訪ねる観光地の価値は半減した。一方で、より一時データが貴重・かつインターネットそのものに疲弊しつつある僕たちにとって、「地域の人とのコミュニケーション」が以前よりも貴重になりつつあるなと感じました。

だからこそ、僕は自転車日本一周という旅を通して地域の人の家庭にお邪魔させてもらい、会話・議論をしながら感じたものをコンテンツ化するという取り組みを続けていきます。

 

さて、これからも旅を続けていくぞー!